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オリジナルBL・百合小置き場

BL「運命の子拾いました」(6)

BL「運命の子拾いました 」(6)



カイと遊ぶ日。なんと、魔王様のお連れ合い様も同行してくださることになった。お連れ合い様は人間だから、人間界に詳しいし、かなり強い不良なので揉め事に巻き込まれても安心だ。人間界に恐怖心を持ってしまった僕を気遣って、カイが頼んでくれたようだ。身に余る光栄だ。

「お連れ合い様、今日は僕なんかのために、ありがとうございます。」
「おう、そんな固くならなくてもいいぜ。誠司って呼んでくれ。俺も久しぶりにクレープ食べたかったからな」

優しい誠司さん。同じ人間でも変態とは大違いだ。流石魔王様と結婚なさった方だ。


そんなわけで、僕とカイと誠司さんは、都会の人混みに揉まれながらも楽しい時間を過ごした。クレープは勿論、ふわふわのかき氷や、もちもちのパンケーキも食べたし、観覧車にも乗った。こんなに高いところから人間界を見下ろしたことなんてない。僕は人間界の「下」に住んでいるし、ぱたぱたとんでもこんなに高いところまで飛んで上がったことはない。カイは「上」から見ているみたいだけど、それとはまた違った風景であったらしく、とても興奮していた。

とっても楽しかった。
最近ごたごたしていて恐怖だけが先走ってしまっていたけれど、やはり人間界にも楽しいことはたくさんある。

「また来ようね」
「楽しかったね」

帰り道。カイと話ながら歩く。誠司さんは僕たちの後ろをのんびり歩いていた。


ふと、懐かしい場所が目に入った。前に人間界に遊びに来たとき、カイと来た公園だ。ブランコ、まだあるかなあ。

「リク、ここ覚えてる?」
「うん、勿論。誠司さん、ちょっとここに寄ってもいいですか?」

いいよ~俺ちょっとそこのコンビニでプリン買ってくるわ。


僕たちはわーいと公園に駆け込んだ。寂れてしまっていたけれども、ブランコはまだあった。嬉しくて、二人で隣り合ってブランコを漕ぐ。

「そういえば、前に来たときは僕たち以外にも人がいたね」
「そうだったっけ?」
「うん、なんか迷子の子かな?リクにすごくなついてた」
「う~~ん?」

思い出せるような、出せないような。

「僕たち、あのとき初めて人間としゃべったんだよ」

ぴーん!思い出した。

「そうだったねー!思い出した。あの子かわいかったね。今どうしてるんだろう。人間だったらもういい歳だよね」
「そうだねー。確か名前も教えてもらったはず……」
「ん……?」
「かず……かずなりとかだったような……」
「いやいや」

変態と同じ名前じゃかわいそうだ。

「いやでもかずなりだった気がするよー」
「えーそんな名前だったっけ」
「そうだよー」

などとしゃべっていたとき。

「やあリクくん呼んだ?偶然だね」


なんと変態が現れたのだった。

「うわー変態だー!!!」

ひえええとカイの後ろに隠れる。すると、コンビニから帰ってきたのか、誠司さんがダダダと走ってきて、「変態だと!?こいつか!」と言って強烈なアッパーをいれてくれた。

ぶっ倒れる変態。
震える僕。
びっくりしたようなカイと、怒った顔の誠司さん。

楽しかったはずの人間界観光が、えらいことになってしまった。



強烈な一撃に気を失った変態。置き去りにすることもできず、変態の目が覚めるまで誠司さんにここのところの出来事をお話しした。

「なるほど、それは確かに変態だな」
「人間界の基準でも変態ですか」
「変態だな」

まずもって出会ったときの会話が最悪だ。そう言う誠司さん。
やっぱり撫でくりまわすのは変態行為らしい。あいつめやっぱり変態だな。

隣で微妙な顔をするカイ。……なんか事情がありそうだけどちょっと今日は触れないことにする。

「うーん、なんか既視感」

唐突に話し出したカイ。

「ねえ、前に公園に来たときも、こうやって人間が倒れてなかった?それで、介抱して、起きた子と一緒に遊んだ気がする」

「さっきの、かずなりって子」

「え~~?そんな偶然ある?」
「……実はあるんだ」

うわっいつの間にか変態が目を覚ましていた。そしてこっちを凝視してくる。こわい。
すぐさま誠司さんの後ろに隠れた。

「この前、リクくんとやり取りをしていたときに、小さかった頃のことを思い出してね。7歳くらいの時かな、都会に観光に来て、迷子になったことがあったんだ」

こちらを凝視しながら話す変態。

「この公園にたどり着いて、眠気にやられて寝てしまって……起きたら羽の生えた子供が自分を介抱してくれていて、そのあと一緒に遊んだんだ」
「そのときの公園がここ。ふいに懐かしくなって、来てみたんだ。そしたら君たちがいた」


「ねえ、あのとき遊んでくれた二人は、君たちじゃないか?」


そう問われた。