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オリジナルBL・百合小置き場

BL「王子さまはアウトローがお好き」(2)完結

王子さまはアウトローがお好き(2)



警察官である彼とのやりとりはうまく続いていた。趣味の話、仕事の話、その他色々、とても楽しく話ができる。あちらのほうもわたしに好感を持ってくれているようだったので、一度会ってみよう、ということになった。


彼に会う日。王族としてはラフな格好で彼を待つ。そして、とうとうやって来た彼……見覚えがあるような?そういえば彼の名前は……

「きみ、ルーカスじゃないか!」
「おう、久しぶりだな」
「アプリではルーだったはず……というかきみ、今警察官なの!?あのやんちゃ坊主が!?」

現れたのは、なんと昔の友人だった。名前はルーカス。幼い頃、年が近いということもあって一緒に遊んだ。城で働いていた女中さんの息子だったのだが、とにかくやんちゃで、城で働く人間にちょっかいを出したり、皿を割ってみたり、花壇の花を引っこ抜いたり。挙げ句のはてにはスリをして、たしか一度指導されていたはず。結局、やんちゃのしすぎで城から追い出された。そんな彼が警察官!驚けばいいのか笑えばいいのか。


「ルーカスは今いくつなんだっけ?」
「43歳」
「じゃあえっと……18歳から警察官やってるの?あんなにやんちゃしてたルーカスが?」
「おう。15の時に追い出されて、18で警官になったんだよ。憧れの職だったしな」

「憧れ?きみはてっきりやんちゃなアウトローだと……」
「確かにアウトローを目指していたよ」

アレクのことが好きだったから。


唐突な告白に驚いた。ルーカスが僕を好きだった?

「王子さまはアウトローがお好きって聞いたから、俺もアウトローになろうと思ったんだよ。でも全然振り向いてくれないし、恋人になったやつらよりも悪いことはしたくなかった」
「だから、アウトローになるのはやめて、警察官になってアレクの国を守ろうと思ったんだ。離ればなれになって、会うこともできなくなった俺が、唯一お前のために出来ることが、国を守ることだった」
「そう、だったのか」
「マッチングアプリで、アレクに似た人を見つけて浮かれたんだ。もしかしたらと思って。そしたら大当たりだ」

にっこりと笑うルーカス。幼いときも、笑顔の絶えない子どもだった。やんちゃだったがわたしにはやさしくて、花壇でむしった花で花束を作ってくれたこともある。一緒にいたずらをして、一緒に怒られたことも。

すっかり忘れていた友人。そんな彼が、わたしのことを思い続けてくれたなんて。15歳のときも、43歳になった今も。


「奇跡だと思った。ずっと好きだった相手に会えるなんて。だから今言わせてくれ。俺はアレクが好きだ。真剣に付き合ってほしい」

アウトローじゃないけど。
そう言って苦笑したルーカス。懐かしい、友人との出会い。そして向けられている好意。やさしくて、誠実な彼。

「……僕は別に、アウトローが好きな訳じゃないんだ。好きになった相手が悉くアウトローだっただけで」

まさかルーカスのいたずらが「アウトロー」を目指していたものだったなんて。微笑ましい。

ふふっと笑ってしまったわたしをみて、ルーカスは真剣な顔で、「好きなんだ。肩書き抜きにして、考えてほしい」と再び告白をしてくれた。


「ああ、わたしも付き合ってみたい。きみと。きみと過ごす時間は、きっと楽しくなるだろうと思うから」
「……ありがとう」

少し涙ぐむ彼。ずっとわたしのことを想い続けてくれていた。その気持ちに応えたいと思う。今度こそ、穏やかで優しさ溢れる恋がしたい。

「……ところでルーカスは、今は悪いことしてないよね?不倫とか勘弁なんだけど」
「大丈夫、そこはクリーンだ。仕事もうまくいっているし、法令遵守が警察官のモットーだしな」

よかった。

「じゃあまた、両親にも紹介させてほしい。アウトローじゃない恋人を連れていったときの両親の反応を想像するととても面白いよ」
「そんなにアウトローとばかり付き合ってたのかよ」
「まあ……前カレは魔王様だったから。アウトローの分野は極めたかんじがするよ」
「前カレが魔王……」
「まあ気にしないでくれ。今のわたしは、きみと付き合いたいと思っている。過去は過去として扱ってくれ」
「分かった。……じゃあ、今日からお付き合いさせていただけますか」
「勿論だよ、ルーカス」


というわけで、人生初のアウトローじゃない恋人ができた。それは昔の幼なじみ。いい感じだ。両親も安心するだろう。何より、わたしが幸せになるだろうという期待がある。

ルーカス。健気で優しい彼と、愛し愛される生活を遅れるようになればいいな。


そう思って、交際を決めたのであった。



その後、無事両親からもOKがでて、半年の交際ののち、結婚をした。お互い40代。遅めの結婚だが、気にしない(なんせ前カレは1574歳で結婚したわけだし、年齢などは些細な問題だ)。

そして今、とても幸せに暮らしている。
仕事にも、わたしに対しても熱心で誠実な彼。肩書きもばっちりだ。ありがたい。


そうして、アウトローを呼び込む恋はしなくなった。ルーカスと穏やかな関係であり、そしてその関係を持続させたいと願う。

幸せは、愛し愛され築くもの。魔王の言っていたことは本当だった。



わたしは今、とても幸せだ。