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オリジナルBL・百合小置き場

BL「王子さまはアウトローがお好き」(1)

王子さまはアウトローがお好き


わたしは某国の王の三人目の王子である。王族としてはごくごく普通に暮らしているのであるが、プライベートで、ひとつ困ってあることがある。

それは、好きになる相手がことごとくアウトローであるということだ。



初めての恋のお相手は、盗賊団の頭だった。盗賊が地方の村々を荒らし回っていたのを、退治するために出向いたところで出会った。当時17才だったわたしは、右も左も分からぬ場所へいきなり派遣され、とても困っていた。そんなわたしを助けてくれたのが、頭であった彼だった。彼は、わたしが討伐隊の一員であり、王族だと知っていながらも、困り果てたわたしを見かねて助けてくれた。わたしは彼が頭だとは知らぬまま、力強く優しい彼に恋をした。討伐を行う間、何度か逢瀬を重ねたが、ある日、とうとう彼が頭として捕まってしまった。わたしはそのとき初めて彼の身分を知り、混乱から抜け出せないまま、彼が処刑されるのを見たのだった。


二番目に好きになったのは詐欺師だった。初めての恋が、あまりにも悲惨であったため、恋に怯えていたわたしに優しく接してくれたのが詐欺師の彼だった。結局彼も詐欺師として捕まり、投獄されてしまった。

もう懲り懲りだと思いながらも、侵略してきた国の軍隊長や、人間をたぶらかそうと人間界へ降りてきた悪魔に恋してしまい、悲惨な最後を迎える、ということを繰り返してしまうわたし。
できるだけいい人を、今度こそ穏やかな恋を、と思っているのに、みんな、ふたを開けてみればアウトロー。こんなにいい人なのに、あんなに優しいのに、肩書きはアウトローだった。

自らもアウトローになって、好きな人に着いていきたいと考えていたときもあった。しかし、そこで邪魔をするのが「王族」という自分の肩書き。三男という微妙な地位とはいえ、王族は王族。それなりの態度が求められるし、アウトローとして家出、なんてこともできない。

「王族」の自分と「アウトロー」な彼ら。一時期は「禁断の恋」だとか民間で騒がれていたこともあったようだ。禁断の恋。禁断だなんて誰が決めたんだ。わたしはわたしが幸せになるために生きているだけなのに。


そうやって失恋や離婚を繰り返して、47歳。最近はアウトロー中のアウトローである魔王様との恋に破れた。知り合いのつてで知り合った相手で、メッセージのやりとりから始まった付き合い。名前は「マオ」。47歳の社長ということだったのだが、非常に優しくて、誠実だった。とても好ましく、是非会ってみたいと思って会ってみたら、「マオ」は1574歳の魔王様だった。このときばかりはまたか!と、自分でも思った。とうとうアウトローの最上級クラスをひいちゃったよ、わたしアウトローレーダーでも搭載してるの?と思い、落ち込んだのだが、肩書きはアウトローでも、魔王様は「マオ」の時と変わらず、優しくて誠実だった。しかし、魔王様とも別れることとなり、今はフリーである。


フリーであるわたしに、親はせっせと他国の王子や姫を紹介してくる。王族であれば、ひとまず肩書きはクリーンだ。わたしももう47歳。人間で言えば結婚適齢期はとうに過ぎてしまっている。親ももう高齢だ。早くわたしが安全に幸せになることを願っているのは分かっている。だが、見合いの相手でぴんとくる人はいないし、それ以外の相手では、身元がはっきりしないため、またアウトローな相手かもしれないと躊躇してしまう。

幸せになりたい。でも、怖い。


もうすぐ48歳を迎えるのに、未だわたしは葛藤し、無駄に日々を過ごしていた。




そんなある日。元カレであるマオに勧められてインストールした恋人マッチングアプリで、とてもクリーンそうな肩書きの人間をみつけた。警察官。ノンキャリの叩き上げのようだが、勤務歴25年。うちの国の人間だ。とても仕事熱心で、国の治安を守ることに尽力しているとのこと。このような相手であれば、親も安心できるのではないか。わたしとしても、好感を持てる相手であるし、このまま交流を深め、一度あってみるのもいいかもしれない。

そうして、わたしの恋活は再び始まった。