9×9

オリジナルBL・百合小置き場

BL「魔王様の恋活」( 2)

魔王様の葛藤

実はいま、まめにやりとりをしている相手の名前は全て「せいじ」だ。未練たらたらなのはわかっているが、「せいじ」という名前にどうしても期待を持ってしまう。

そんななかで、今日は一人目のせいじと会う日だ。それなりにパリッとした服を着て待ち合わせ場所にいく。ただ、角が生えているので目立った。
他人からの目線を気にしつつ、相手の到着を待つ。

ぼんやり待っていると、せいじがやって来た。

「こんにちは、初めまして、マオといいます 」
「……プロフィールとは全く違いますね。申し訳ないのですが、そういう人お付き合いはできないので。」

一人目は一瞬で振られた。
では二人目のせいじに会ってみよう。

二人目との約束。プロフィールが違っていたことには納得してくれたが、年齢差が気になるということで、これは脈なしというやつっぽい。

三人目。三度目の正直という言葉を信じて相手を待つ。

と、そこに現れたのは元パートナーであった誠司だった。

「お前かよ。プロフィール嘘だらけじゃねーか」
「仕方がないんだよ。俺は名前もないし職業も微妙だし年齢も年の差どころではない」
「あー、まあそりゃ仕方ないか」
「……ところで今日はどうする」
誠司からの返事をどきどきして待つ。

「まあ、まず飯食いに行こーぜ」

歓喜した。デートだ!

と、喜んだのもつかの間、会話は主に誠司の恋活の話だった。好きな相手の恋活を聞くのは相当つらい。
誠司とまた出会えたのは嬉しかったが、やはり心の整理はできないままだった。



気持ちを切り替えねばならない。いつまでも誠司に執着していても、意味がない。
「せいじ」縛りはやめて、紹介された王族のうち、一番誠実そうで優しい相手とひとまずお付き合いを始めることに決めた。

相手は46歳。某国の王さまの三男坊らしい。俺とは1528歳差である。
年の差は気にしない。人外であっても、大切なのは人柄。そういうスタンスで、とても優しく、誠実な人だった。これなら、「愛し愛される関係」というものが築けるのではないか。今の俺でも、できるのではないか。希望を持ち、相手との交際が始まった。

王族と会った日。同時期に誠司にも恋人ができたらしい。ずっとやりとりを続けいた大学生が相手だという。年の差もなく、話題の共有もできる。若者らしい若者で、優しく、ときにふざけたりする、普通の大学生らしい。


ということで、お互いの進捗について報告会のお茶をした。

「人外受け入れてくれる人ってなかなかいないじゃん。よかったね」
「まあな。心の広い人っぽいわ。紹介してくれてありがとう」
「感謝は俺の友達に言ってくれ」
「よろしく伝えといてくれよ」

等の適当な話をする。
……やはり誠司との会話は楽しかった。新しい恋人も見つかり、恋人とのやりとりも楽しいはずなのに、やはりふとした瞬間に「誠司ではない」ところに悲しくなったり失望したりしてしまう。相手にも失礼な話だ。しかし、誠司を諦めることはできないのだと感じた。


「そいうや俺、お前の連絡先しらないんだけど」
そうだった。恋活のために購入したスマホの番号等は誠司に教えていない。はっとしてすぐさま連絡先を交換する。

「誠司はメッセージ多くても気にならない派か?」
「気にはならないけど、既読スルーは多いぞ」
「……まあいいか。また連絡するわ」


ということで、今さらながら連絡先を交換した。それ以降、毎日のようにどうでもいい連絡を取る。返事があって話が盛り上がるときもあれば、スルーのときもある。
やはり、誠司とのやりとりが一番楽しい。
今付き合っている相手には大変申し訳ないのだが、やはり誠司が一番だと痛感した。