9×9

オリジナルBL・百合小置き場

BL「魔王様の恋活」

恋活始めました

大切なパートナーを失ってはや一年。元サヤを狙っていたが、どうも相手はそれに答えてくれなさそうだ。望み薄。このような状態でいることが苦しい。
振られたのは当然のことだったと今なら思う。あまりにも態度が悪すぎた。愛していると思っていたって、実際に相手を大切にすることができていなかった。いつも自分勝手。愛されていると感じられない相手、しかも横暴な相手に、愛想を尽かすのも当たり前だった。

今なら分かる。でも、もう遅いのだ。


俺は態度を改めた。それも、元パートナーとその家族のおかげだ。そうやって学んだことを生かして、次は失敗しない。相手に対して誠意を尽くすのだ。


そう決意して、俺も恋活を始めることにした。元パートナーの言う「愛し愛される関係」を見つけるのだ。そして今度こそ、幸せをつかむ。




「おー、お前もついに恋活すんのか」
「おう。なにかアドバイスをもらいたいんだが」
「この恋人マッチングアプリは相手の身元がしっかりしてるからおすすめだな。あとは、つてで魔王と付き合いたい王族が何人かいるけど」
「なるほど、じゃあひとまずアプリインストールしてみるわ。王族も紹介してくれ」
「おっけー。」

まず、俺は元パートナーである誠司に相談しにいった。誠司も長らく恋活をしているようだが、なかなか相手が見つからないらしい。誠司いわく、「幸せは簡単には見つからないんだよ」とのことだった。その通りだと思った。拐うだけ拐っておいて、努力もしなかった過去の自分を思い返して、恥ずかしくなった。本当に、俺はただの子どもだった。





恋活をはじめて数週間。誠司から紹介された王族にも会ってきた。なかなか好感触だったと思う。ただ、俺が魔王だというステータスを求めているだけの人間もいて、そこにはげんなりした。

恋活アプリの方でも、現在かなりの人数とやり取りした。そのなかで気になる相手が数人いたので、今は相手を絞ってとまめに連絡をとっている状態だ。


今度は誠実にやろう、と決意したのは良いが実は俺のプロフィールは嘘が多いのである。まず、おれには名前がない。発生したときから魔王だったし、命名してくれる存在もいなかった。なのでひとまず、「マオ」という名前で登録している。プロフィール画像も、実は魔界の住人で、人間の形をしたものの写真を借りている。なんせ俺には角が生えているので。魔王という肩書きも伏せていて、大企業の社長ということになっている(まあ、大多数の人間を管理し養っているという点では社長と代わりないかと思い……)
そして、不良であることも伏せている。恋活は、実際会うまでは字でのやり取りだ。いくらでも口調は変えられる。なのでできるだけ丁寧な言葉遣いを心がけ、相手との会話もきちんと考えた上で返信している。

できるだけ誠実でありたい。プロフィールが嘘だらけな分、会話の上では誠実でいたいのだ。


しかし、なかなか恋活はうまくいかない。実際に会うというところまで持っていけても、その後が続かない。当たり前だ。まずプロフィールが違うという点で不審がられる……というか、プロフィールを信じて行ってみたら、相手がそもそも人間ではなかった、というのは非常に相手を驚かせる。角生えてるし。怖がられて当たり前だ。
会う前に本当のことを伝えるというやり方も試してみたが、やはり人外、しかも魔王となると敬遠される。年齢差を気にする人も多い。俺は1574歳だし、人間からしてみたら年の差カップルどころの話ではない。
しかし信じてもらえればいい方で、大抵は虚言だと思われておしまいだ。


魔王の恋活は、おそろしく難しかった。