9×9

オリジナルBL・百合小置き場

百合「好きな気持ちをまっすぐに」

好きな気持ちをまっすぐに



街中。わたしたちカップルは、どう見ても浮いていた。
ロリイタファッションのわたしと、変な柄のTシャツと中学生のときのジャージをきた相手。

「相変わらずだっさ。ださいっていうかそれは部屋着でしょ」
「これは外出着です~そっちこそ相変わらずデコラティブ過ぎ。暑くないの?」
「ファッションのためなら気温なんて些細な問題だ」
「ふーん」

手を繋ぎ、歩きながらしゃべる。わたしたちは恋人だ。





出会いは大学のサークル。
わたしは大学でもロリイタを着ていたから、周りからじろじろ見られることが多かった。悪口を言われることも。
「ロリイタとかあり得ない」
「正直ださいよね」
「ブスがロリイタとか気持ち悪い」

そう言われて続けていた。わたしはロリイタファッションが好きだ。好きだから着ている。でも、悪口に耐えられるかといえばそうではない。わたしはロリイタを着ていてはダメなのだろうか。毎日、華美なブラウスやジャンスカを着る度に落ち込んだ。

そんなとき、サークルに入ってきたのが、今の恋人だった。入ってすぐ、恋人も悪口を言われていた。どこで買ったのそんな柄、というようなTシャツ、それにすりきれたジャージ、ぼさぼさの髪の毛。

「えー女の子としてあり得ない!」
「それは流石にないよ」
「ださすぎ」
「他の女の子を見本にしてどうにかすべき」

そんな言葉を、恋人は一蹴した。

「人の見た目でどうこう言うことしか趣味ないの?かわいそー」
「お前らも大概ださいよ、ジャッジする側にいられると思ってでかい態度とってるけど。みんなと同じだからまともだって?同じじゃなきゃ死ぬ病気にでもかかってんの?」

かっこいいと思った。すっきりした。デコラティブ過ぎるわたしと、雑すぎる彼女。全然共通点なんかないけど、彼女の言葉はわたしを勇気づけてくれた。

わたしも、好きな格好をしても良い。他人からのジャッジなんか、大したことないんだ。怖がらなくても、いいんだ。


そのあと、どうにか彼女に近づきたくて、話しかけてみた。彼女のファッションとは正反対のわたし。拒否されるかな、いやがられるかな。もし、彼女にも文句を言われたらどうしよう、と思ってびくびくしていたけど、全然そんなことなかった。
そうやってお近づきになって、気づいたら恋人同士になっていた。



交際してから半年くらい。あいかわらずわたしはロリイタ、相手はジャージ。二人で手を繋いでいると、えっという顔をされる。それから、「なんで付き合ってるの?」「あんな人間よりもっといい人がいるでしょ」とか、お互い言われる。

でもそういう人たちは結局、わたしたちの外見しか見てないのだ。彼女の、ものをしっかり伝えられる強さ、自分を信じている態度、そしてそれを示せるところ。優しいところ、楽しいところ。彼女は魅力的だ。外見はアレだけど、そんなことどうでもいい。人は外見で評価がきまる。そんなことはずーっと前から知っている。だけど、彼女はわたしがどんな格好をしていても、そこで判断せず、わたしについて知ろうとしてくれた。そんな彼女が、大好きだ。ファッションの違いなんて、大したことではない。

とはいえ、彼女を買い物デートに誘ったことはない。あまりにもテイストが違うので。

「華美すぎ」
「適当すぎ」

じゃれあいながら、街を歩く。彼女となら、どんな視線も怖くない。わたしはわたしの好きなようにする。彼女もそうだ。彼女は彼女で好きな格好をする。わたしたち二人は釣り合ってないように見えるかもしれない。でもそれは、「見えるかもしれない」であって、わたしたちには関係のない他人の考えだ。気にすることはない。

わたしはロリイタがすき。彼女も大好き。彼女は着飾ることに興味がない。でもわたしのことは受け入れて、好きでいてくれる。

それ以上に、何を求めるのであろうか。
わたしたちはわたしたちの「好き」を追求してるだけ。

「まあ、なんだかんだいってあんたのこと好きだよ」
「わたしも。服の違いなんて大したことじゃないよね」

こういう会話ができる相手。大好きな相手。
周りからのジャッジより、大切なこと。それは、彼女を好きだという気持ち。

これだけは、誰にも文句は言われたくない。


わたしは好きなのだ。ロリイタも、彼女も。それ以上でもそれ以下でもない。


好きなのだ。