9×9

オリジナルBL・百合小置き場

BL「治らない痛み」

治らない痛み


「頭いたい」
「いたいのいたいのとんでけ~」
「とんでいくわけないだろ」
「気の持ちよう」
「気持ちより薬の方が効くんだよ」


うそ。
幸生にそういってもらえると元気になった気持ちになる。薬も効くけど、幸生からの気遣いの方が余程嬉しくて、あたたかい。


「じゃあ、薬飲んで早く治しな」
「言われなくても飲む。……幸生はもう帰る
の」
「おう、あいつが待ってるんで」

一瞬で冷える体。ああ、頭がいたい。
幸生には恋人がいる。半年前くらいから付き合い始めた。そこからは、恋人優先。おれと遊んでくれることも少なくなった。


「あっそ、羨ましい限りで」


羨ましい。幸生と付き合えるなんて。幸生は世話焼きだから、恋人が体調を崩したら、もっと心配してくれるだろう。おれはせいぜい「いたいのいたいのとんでけ」レベルだ。適当。でも、今の関係じゃ妥当な反応。所詮友達止まりのおれだ。


「頭痛持ちは大変だな。」
「……まあな。ていうか早く帰れば、相手待ってるんじゃないの」
「ああ、行くけど。友達が体調悪いの放っておくのもさあ。後ろ髪引かれるというか」
「いいよ別に。薬効いたら帰るし」
「そう?じゃあお大事に」
「どうも」


心にもない言葉。でも、恋人と帰ることを楽しみにしている幸生を見ているのも辛い。いっそさっさと目の前から消えてほしかった。


ああ、頭がいたい。ひとり、机に突っ伏して泣きそうになった。頭もいたけりゃ心もいたい。「いたいのいたいのとんでけ」なんて、そんな言葉は効かない。もっとほしいものがある。なーんてことは、言えないけど。