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オリジナルBL・百合小置き場

BL「魔王様のお連れ合い」(1)

「魔王様のお連れ合い」(1)



「てめえまた俺のプリン食べやがったな!今まで注意にとどめていたが仏の顔も三度まで!三回目の今日こそは許さねえぞ!」
「魔王に仏の言葉聞かせてなんになるって?大体毎回自分の分だけ買ってくるお前がケチなんじゃねえか!」
「対した小遣いももらえてねえのになんでお前の分まで買ってこなきゃならねえんだ!てめえが俺のことこっちに拐ったんだろうが!最低限の生活を送れる程度の面倒はみろよボケ!!」

俺は魔王のお連れ合い、要するに配偶者である。人間界で普通に暮らしていたのに、気付いたら魔界にいた。どうもクソ魔王に拐われたらしい。
「一目惚れだったんだよ、何が悪いんだよ、ああん?」
と逆ギレされたときはぶっ殺してやろうと思った。てめえの都合なんて知るか!家に帰せ!!

連れてこられた最初は、めちゃめちゃに抵抗したが、人間界と魔界を自由に行き来する権利をもぎ取ったこと、魔王の性格が徐々にわかってきて、ついうっかりほだされてしまったことにより、未だ俺は魔界にいる。

ただし、喧嘩は絶えない。
俺もあいつも、基本不良なのである。


「舐めやがってくそが、魔王だからって何もかもが許されるわけじゃねーぞ!」
「魔王が悪いことをせずしてなにをするって?人を絶望させてなんぼの商売なんだよ」
「まじ最低だな死ね」
「魔王は大抵のことじゃ死にませーん」
「くそうぜえ」


くそうぜえ。
ほだされたとはいえ、うざいのは変わらない。態度は悪いわ、俺様だわ、口も悪けりゃ性格も悪い。俺への対応も舐めたような行動ばかり。一目惚れなんて嘘じゃねえか。

俺は不良ではあるが、乙女思考なのである。結婚は愛し合った二人でしたかったし、結婚生活は穏やかなものがよかった。それなのに、現実はこの様。最悪だ!!


「てめえとは別れる。」
「はあ?今さら俺と別れられると思ってんのかよ、ばかじゃねえの?」
「まじくそ舐めた態度とりやがって!」
「さっきから舐めた舐めたとうるせえな。そんなに舐められたいならぺろぺろしてやろうか?ああん?」
「お前それはただの変態だろ」
「否定はしない」
「しろよ」

流石に素でつっこんでしまった。


きもい。うざい上にきもいとなるともう別れざるを得ないであろう。普通にこんなクソとは別れるわ。

「別れるわまじで。うざいきもいケチでクズなんていいとこねぇじゃねえか」
「はあ?別れるなんて許さねえぞおら、それなら逃げられないようにしてやるよ」
「してみろよバーカ!ただの変態に何ができるって?」

バチバチバチ。火花が散ったそのとき。

「はい止めて~落ち着いてね~」

馴染みの声が聞こえた。
善の神だ。

「また来たのかよ」
「また、はこっちの台詞だよ~また喧嘩して。魔界みてみなよ、えらいことになってるよ」

冷静になって魔界を見回してみる。ああ確かにえらいことになってるわ。

「迷惑かけたな」
「いいよもう慣れたし」
「ほんとお前心広いよな。」
あのクズとは違って。

ぎろりと魔王のやつの方を見る。

「元はお前がプリン食べた~とか言って始まったんだろうが。心後狭いのはどっちだよ」
「どう考えてもお前が悪いんじゃねーか!開き直りやがって」

「はいはいやめてね~」

善の神にまた制止される。しかし、今回だけはおさまらなかった。

「一目惚れだのなんだの言っておきながら俺のこと大切にしようという気になった試しあるか?あ?俺はパートナーとは愛し愛されて暮らしたいんだよ。お前なんかとは暮らしたくもねえ」

おっとこれはこれは。

善の神の呟きを聞き流してアイツを睨む。


「俺は人間界に帰る。」
しねバーカ!!!!


そう言い捨てて、俺は家に帰った。もう戻らない。新しい恋人を作って、穏やかに暮らすのだ。


もう、帰らねーからなバーカ!!