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オリジナルBL・百合小置き場

BL「神様のお膝元」

「神様のお膝元」


「おーいカイくん、ちょっとこっち来て。」
「はい!いますぐ参ります!」


僕の名前はカイ。新人天使だ。これから色々勉強して、立派な天使になるべく日々忙しくしている……はずの立場なんだけど。


「はいカイくん、ここにお座りなさい。」
「はい!」


僕は何故か神様のお気に入りになってしまった。よく呼ばれて、膝にのせられてまったりした時間をすごす。神様いわく、僕は丸っこくて、抱き枕として最適だそうな。


「神様、あのう、僕、お勉強したいんですけど」
「あらそうなの、なに勉強したい?教えてあげるよ」
「そんな大それたことを!自分で頑張れます」
「でもカイくんが勉強しにいっちゃったら、わたしの抱き枕がいなくなっちゃうじゃない。抱き枕係になってくれてる対価としてなんでも教えてあげるよ~」


正直なところ、うちの神様はゆるゆるだと思う。天使仲間に聞くところによると、高嶺の花!目も合わせられない!というような神様もいらっしゃるようだ。それに比べてうちの神様の気さくなこと。


「お気に入りの抱き枕で癒されながら仕事して、息抜きとしてカイくんとお勉強して、WINWINじゃない?」
「ま、まあ……大変ありがたいことではありますが……」
「じゃあ決定ねーわたしの仕事見てるだけでも勉強になると思うから、膝の上にいてくれればあとは何しててもいいよ~」


なんという適当さ。
あと、うちの神様は距離が近すぎると思う。いくら抱き枕とはいえ、ほっぺたをすりすりしたり、お腹をもみもみするのは如何なものか。セクハラにあたるのでは?でも合意の上でのことなので、ハラスメントではないか。まあとにかく、距離が近い。


そんな神様のもとで、抱き枕として働く僕。一体いつになれば一人前の天使になれるのか。
うーむと考える僕をみて、神様がとんでもないことを言い出した。

「わたしとキスとかセックスとかしたら位上がるよ~どう?」
「いやそれはちょっと……できるだけ正攻法でいきたいので……」
「あ、そう?じゃあまた気が向いたら声かけてよ。」

カイくんは僕のお気に入りだからね~。

頭を撫でくりまわされながら言われる。
先輩天使に嫉妬されないだろうか、とびくびくしていたときもあったけど、先輩たちはもう、うちの神様ってこんなもんだよね~と気楽に見ていてくれる。ありがたいことなのか、なんなのか。

「天使は愛と幸せと正義を運ぶ職業だからね。愛と幸せをわたしと育むことで得られるスキルはすごいものだよ」

神様の言うことにぐらっときつつも、僕は真面目にやりたいのだ。

「地道に頑張る派なので。」
「そっかーカイくんはえらいねえ」

相変わらず頭を撫でながら言う神様。
「わたしはカイくんと愛を育みたいんだけどね~」
あっ、これ一応告白だからね。お返事待ってるよ。


そう言われて焦る僕。
そんな見に余る光栄を受け取ってしまっていいのだろうか。神様の恋人。ひええ。

「……検討させていただきます」
「おっけー。返事はいつでもいいよ。とにかく今は抱き枕と言うことで。」
ちゅっと頬にキスをされる。


どうなる僕の新人天使生活。思ってもみなかった展開にてんやわんやである。

しかし、神様のお膝は大変居心地がよいので、なんだかんだ呼ばれたらしゅっと参上してしまうのである。

キスくらいなら、できるかな。位が上がるとかそういうの関係なしに。
抱き枕からちょっと発展させてみたいなあという気持ちもありつつ、なんだか神様のいいように手のひらで転がされている感もあり、なかなかむずかしいところである。


ひとまず抱き枕係として、今は頑張るしかない。それを楽しんでいる自分も自覚している。
いつか神様ともっと深い仲になるのだろうか。ドキドキするなあ。


期待と不信感を抱きつつ、今日も神様のお膝に座る僕であった。





おまけ

「神様のお仕事って、どんなことをなさっているのですか?」
新人天使の僕。ほんとうに何も知らないのである。

「わたしの仕事はねえ、基本的には人間界のチェックをしているよ。人間にはどうしようもないことに救済を施したり、罰を与えたりしてるの」
「人間にはどうしようもないこと、ですか?」
「そうよー、例えば天災とかね。犯罪行為とかは人間が自分達で裁くものだから、そちらにはほとんど介入はしないね」
「そうなんですね。」
「内政不干渉ってやつ?神様にも色々制限があるの
よ」
「全知全能だと思っていました」
「そういう神様もいるけどね。うちは地道にやっていく派だから。」
「なるほど……」
「あと魔界のチェックと交流とかね。魔界が荒れると人間界も荒れるから」
「そうなんですか?」
「うん。魔界はね~厄介でねえ。あそこ治めてる魔王とその相方がまあよく喧嘩するんだよ。そしたらもう魔界が荒れる荒れるで大変になっちゃうんだよね」
「魔王様にはお連れ合いの方がいらっしゃるんですね」
「気の強い方でねえ。喧嘩の度に仲裁に入らなきゃならないんだよ。これが一番大変かもね」
「はあ……それはなんとも……」
「他に知りたいことは?」
「今はもうないです」
「そう~じゃあわたしも仕事に戻ろうかねえ」
「なにかお飲み物お持ちしましょうか?」
「いいよ、カイくんがお膝にいてくれたら」
「承知いたしました!張り切って抱き枕になりきらせていただきます!」
「よろしくー」


おまけ2

「この前の魔王様とそのお連れ合いの方の喧嘩、すごかったですね。」
「でしょう、あれほんと困るんだよね」
「同行させていただいていた僕もひやひやしました。」
「ねー」
「ところで、魔界っていつもあんなに荒れているんですか?」
「いや、普通はもっと穏やかなのよ。でも魔王の機嫌に大分左右されるところだから、魔族達は大変だと思うよ」
「そうなんですね……」
「また魔界が立ち直ったら1回いってみようね。案外いいところだよ」
「是非行ってみたいです!」